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    <title>Smoke and Fools</title>
    <description>We want to climb the highest place...　『S.N.F.』の輝かしくも、まぬけな記録と、徒然記。</description>
    <link>http://smokeandfools.blog.shinobi.jp/</link>
    <language>ja</language>
    <copyright>Copyright (C) NINJATOOLS ALL RIGHTS RESERVED.</copyright>

    <item>
      <title>ずさんな計画</title>
      <description>&amp;nbsp;計画立案、手配、会計は、俺が担当している。一度全員でルート設定の会議をしたあと、現地への交通費（燃料、輸送、高速等の料金）、食費、燃費＝酒代などを計算する。それで導き出された金額が、今回は11万円である。八戸まで高速道路を使用し、そこから苫小牧向けのフェリーで北海道上陸。内陸部をぐるっと回って、釧路から東京港までフェリーで帰る。その他の経費を加味すれば、そのくらいの金額はどうしても必要だった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
出発日ぎりぎりまでメンバー全員、アルバイトに励んだ。パン工場で働くもの、ガソリンスタンドで働くもの、その他コンビニ、公共施設、ギャンブル（ダメじゃん&amp;hellip;）などに勤しみ、旅費を稼ぐ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
こうして、何とか旅費は用意できた。そして、前日はお楽しみの買出しである。新聞の折込広告をチェックして、一番安いお店へと雪崩れ込む。お目当てはもちろん、酒、酒、酒であった。「やっぱりビールは、スーパードライだろ！」とか、「この日本酒、旨そうじゃね？」とか、思い思いに盛り上がっていた（まあ、特定の二人だけという見方もできる）。全日程の献立を考えていた俺は、食料品にも目を配る。今回は長期戦なので、日持ちの良いものを中心に選択。生ものは現地調達するつもりだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
結果として買ったものは、日本酒一升、ウイスキー一瓶、ビール（350ml）一ケース、酎ハイ（350ml）一ケース、ウーロン茶など数本、冷凍肉を数キロ、じゃがいも、たまねぎ、人参、その他調味料など。食料品はともかく、酒類は明らかに不足している。なにせ、呑み助の俺と鯨岡がいるのだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
案の定、キャンプ二日目にして深刻な事態が発生してしまうのだが、その話は次（次？）回にでも。&lt;br type=&quot;_moz&quot; /&gt;</description> 
      <link>http://smokeandfools.blog.shinobi.jp/%E3%81%A7%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%81%84%E3%81%A9%E3%83%BC/%E3%81%9A%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AA%E8%A8%88%E7%94%BB</link> 
    </item>
    <item>
      <title>北へ</title>
      <description>&amp;nbsp;一部の方々を、ブッチギリで置いてきぼりの新展開。あの話は、面白すぎるので、まだまだ出しません。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
20代前半、俺はプラプラとしていた。バイト、釣り、麻雀、夜のドライブ&amp;hellip;と、まるっきりダメな感じ。それでも、かなり真剣に取り組んでいたのがアウトドアライフ。それも、かなりストイックに。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
電源付きテントサイト？ふざけんなっ#%E:185%#キャンプ場？？一昨日きやがれっ!!!&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
何も無いのを楽しむ心意気なくして、外に出るなかれ。っつーか、野外に出てまで日常を求めるな!!&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
そんなこんなで、その年の遠征先は北海道に決まった。「そんなこんな」は、大抵、俺の独断と一存である。プロペラの飛行機に乗りたいという理由で三宅島に行ったり、釣り＆キャンプ「=食材は現地調達」という理由で、長野の山奥へ繰り出したり。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
そして、その「そんなこんな」は、異論を挟む余地がない。いつでも決定事項である。メンバーには、日程調整以外の質問はしない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
メンバーの彼らも慣れたもので、ダメな日にちと、予算はいくら？くらいしか伝えてこない。計画全般を担っている俺は、そこから日程、ルート、予算を組んで、全員へ伝達するのである。今回の予算は、11万円程。一週間掛けて、北海道を一周する計画である。期日は8月の半ばからと決めた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
伝達したのは、6月の後半。各自、アルバイトに励みだす。&lt;br type=&quot;_moz&quot; /&gt;</description> 
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    </item>
    <item>
      <title>下山、走る！</title>
      <description>&amp;nbsp;登山道と下山道は別々になっている。その下山道は、砂礫の地面をブルドーザーで踏み固めたような感じで、遥か下方へつづら折れとなっている。道の中央は固くて歩きやすいが、両端は砂礫が柔らかく、深くて、足が沈んでいく。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
すでに大勢が下山の途についていて、人の列が道に沿って、大蛇のようにうねっていた。そんな中を、快調に進んでいた一行だが、ここで一つの問題が発生した。八合目辺りで、とある建物に大行列が出来ている。トイレであった。思えば、昨夜9時から登り始めて、かれこれ10時間以上経過している。その間、用を足していなかったのであるから、その行列を作っている人々の気持ちは良くわかる。というか、割り込んででも入りたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「すごい行列だな。しかも、ここ、有料だ」&lt;br /&gt;
「どうするか&amp;hellip;確か、七合目にもトイレがあったぞ」&lt;br /&gt;
「よし！じゃあ、走るか!!」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
かくして、七合目まで走って下ることになった。前述のとおり、道の中央は歩きやすいため、人がいっぱいである。従って、比較的人の少ない、道の端の、砂礫が深く積もっているところを、足をわざとすべらせながら進んでいく。こういう土壌では、グリップを効かせるのが難しいので、滑り落ちる方が楽である。足腰への負担も軽減出来るというオマケ付きだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
七合目に到着すると、またもや大行列。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「ここもか！しかも有料&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
「うーむ。有料にする事情はわかるが、俺は金を払いたくないぞ」&lt;br /&gt;
「同感だ。でも、無料のトイレって？」&lt;br /&gt;
「五合目の駐車場脇にあったぞ」&lt;br /&gt;
「結局、そこしかないか」&lt;br /&gt;
「ならば、走るぞ!!」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
標高が高く、微生物が生息できない極地においては、糞尿が生分解されることなく、その姿を留め続ける。そのまま放置する訳にはいかないので、汲み取って麓まで持ち運んでいるのだ。その為の費用を、使用料という形で利用者から徴収している。糞尿を運んでいる人たちには、本当に頭が下がる思いである。だが、自然の摂理たる生理現象にお金を払うということに抵抗感を感じる彼らは、五合目まで一気に下ることを決断した。自身のリミットは近い。一刻の猶予もないという状況で、自然とペースが上がっていく。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ザァーッ、ザァーッと砂礫の上を滑るように進む彼ら。鯨岡は、スキップを踏みながら進んでいく。そういえば、彼は高校生時分、持久走（10km）でもスキップしていた。きっと、単に走るよりもスキップの方が、鯨岡にとっては速く移動することが出来るのであろう。見る間に、他の二人を突き放していく。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「ねえ、あの人。スキップしながら下ってるよ」&lt;br /&gt;
「新しい山の下り方だね」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
周囲からは、そんな声が聞こえた。確かにそれは、新しい下山方法が誕生した瞬間だった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ひたすら走り続けて、六合目の施設を通過した。道の傾斜がなだらかになり、時折平坦になる。さすがに疲労の色は隠せないが、やんごとなき事情が彼らを走り続けさせた。ゴール＝公衆トイレは目前である。最後の力を振り絞って、ようやく五合目の駐車場まで辿り着いた。下山を開始してから2時間と少し。本日一番の下山タイムであろう。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
大人としての尊厳を保てた彼らは、行程の無事を喜び合った。夜半から早朝にかけて崩れていた山の天候も、今ではすっかり回復し、太陽が一行を祝福するかのように陽光を降り注いでいた。いくつか遣り残したことはあるものの、皆それぞれに満足しているようだった。&lt;br /&gt;
&lt;img alt=&quot;下山道&quot; width=&quot;300&quot; height=&quot;225&quot; border=&quot;0&quot; align=&quot;left&quot; vspace=&quot;5&quot; hspace=&quot;5&quot; title=&quot;下山道&quot; src=&quot;http://file.smokeandfools.blog.shinobi.jp/Img/1286415450/&quot; /&gt;&lt;img alt=&quot;雲海と遠くの山々&quot; width=&quot;300&quot; height=&quot;225&quot; border=&quot;0&quot; align=&quot;left&quot; vspace=&quot;5&quot; hspace=&quot;5&quot; title=&quot;雲海と遠くの山々。&quot; src=&quot;http://file.smokeandfools.blog.shinobi.jp/Img/1286415522/&quot; /&gt;&lt;img alt=&quot;登頂記念の土俵入り。&quot; width=&quot;300&quot; height=&quot;225&quot; border=&quot;0&quot; align=&quot;left&quot; vspace=&quot;5&quot; hspace=&quot;5&quot; title=&quot;登頂記念の土俵入り。&quot; src=&quot;http://file.smokeandfools.blog.shinobi.jp/Img/1286415577/&quot; /&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br type=&quot;_moz&quot; /&gt;</description> 
      <link>http://smokeandfools.blog.shinobi.jp/%E3%83%95%E3%82%B8%E3%83%A4%E3%83%9E%E7%95%AA%E5%A4%96%E7%B7%A8/%E4%B8%8B%E5%B1%B1%E3%80%81%E8%B5%B0%E3%82%8B%EF%BC%81</link> 
    </item>
    <item>
      <title>日の出と白魔</title>
      <description>&amp;nbsp;徐々に周囲が明るくなってきた。日の出時刻が近付いているようだ。ただし、今の気象状況で、果たしてご来光が拝めるかどうかは不透明である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
暗闇から開放されていくと共に、そこら中に人だかりが出来ていることに気づいた。わいわい、がやがやと騒がしい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「こちとら、命がけで日の出を見に来ているのに、お前らまるで遠足気分だな#%E:185%#」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;rdquo;命がけ&amp;rdquo;とはオーバーな話だが、霊峰富士山の山頂に響く嬌声は、強い違和感を覚える。3分間聞いているだけで、げんなり、うんざりさせられた。もはやこの山は、神々の座ではなく、到達するべき頂でもなく、単なる観光地にたってしまったようだ。頂上に売店があるなんて、もってのほかである。本気で世界遺産に登録しようと思っているのならば、こういう不要なものを一切合財潰して、元の更地に戻さねばなるまい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
寒さに震えながらそんな事を考えていると、やがて下方には真っ白な雲海が広がり、それ以外の部分は、分厚い雲と濃い霧に覆われてしまっていた。時折雲海の切れ間から下界の様子が垣間見える。周囲の視界は10mといったところか。人だかりも、声は聞こえど、姿は見えずといったありさま。益々ご来光が遠のいた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
それでも待ち続けることしばし、東の空が赤く輝きだした。分厚い雲に、薄く切れ目が入っているようで、わずかにそこから光が漏れ出して、空をささやかに染めた。もうこうなったら、チラ見せでも構わないから、なんとか太陽を拝みたい。白い風景にはもうウンザリであった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
数分後、一斉に歓声が上がる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「おぉーっ!!ご来光だー!」&lt;br /&gt;
「すげー、感動した!!」&lt;br /&gt;
「生きててよかったー!!」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
などと、感極まる程の代物ではない。なにせ、雲間はわずかしかないのである。赤色の球体は、その姿を半分も見せることなく、あっというまに消えていった。そして入れ替わるように、なんとなくシラけた空気が、その場に漂っていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
まあとりあえず、ご来光を拝むという目的は達成されたので、ホットコーヒーで祝杯を挙げる。当然、沸点が低いので、ぬるーいコーヒーではあったが、冷め切った体を少し元気付けた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
落ち着いたところで、剣が峰への登頂と、お鉢まわりをどうしようか、ということになった。体力的に問題はなく、時間にも余裕がある。全員明日も休みを取っていた。ただし、太陽が雲の中へ姿を消してから、一層濃さを増してきた霧が問題である。視界の悪さは、安全に登山を続けられないレベルに達していた。もしもこんなところで迷子になったら、下界ではまだ蝉が鳴くこの季節にして、凍死一直線であろう。という訳で、お鉢まわりは断念することにした。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
剣が峰＝標高3,776mの最高点への到達だけは、何としても成し遂げたいと、斉藤は主張したのであったが、地図で現在地を確認すると、剣が峰までは、富士山頂を半周しなければならないことがわかった。つまり、行って帰ると一周してしまう。お鉢まわりを断念した彼らにとって、剣が峰への到達を断念しない理由はなかった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
いつか再び挑戦することを心に誓い、下山の途についた。&lt;br /&gt;
&lt;img alt=&quot;ちょっとだけ。&quot; title=&quot;ちょっとだけ。&quot; width=&quot;300&quot; height=&quot;225&quot; border=&quot;0&quot; align=&quot;left&quot; src=&quot;http://file.smokeandfools.blog.shinobi.jp/Img/1286330854/&quot; /&gt;&lt;img alt=&quot;真っ白です。&quot; title=&quot;真っ白です。&quot; width=&quot;300&quot; height=&quot;225&quot; border=&quot;0&quot; align=&quot;left&quot; hspace=&quot;15&quot; src=&quot;http://file.smokeandfools.blog.shinobi.jp/Img/1286330910/&quot; /&gt;&lt;img alt=&quot;登頂記念！&quot; title=&quot;登頂記念!&quot; width=&quot;300&quot; height=&quot;225&quot; hspace=&quot;15&quot; border=&quot;0&quot; align=&quot;left&quot; src=&quot;http://file.smokeandfools.blog.shinobi.jp/Img/1286331047/&quot; /&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br type=&quot;_moz&quot; /&gt;</description> 
      <link>http://smokeandfools.blog.shinobi.jp/%E3%83%95%E3%82%B8%E3%83%A4%E3%83%9E%E7%95%AA%E5%A4%96%E7%B7%A8/%E6%97%A5%E3%81%AE%E5%87%BA%E3%81%A8%E7%99%BD%E9%AD%94</link> 
    </item>
    <item>
      <title>折れない心</title>
      <description>&amp;nbsp;山頂に着いたは良いが、日の出までにはまだ2時間以上ある。それまで、これといってすることもなく、ただ寒さに耐えながら壁際に座り込む三人。バーボンウイスキーを回し飲みし、体を温めることに努めていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
斉藤は、煙草を吸おうと、ライターを取り出したのだが、火花は散るものの着火しない。強風もさることながら、気圧も影響しているのであろうか。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「いいこと思いついた!!」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
斉藤が得意げに声を上げると、間髪を入れずに、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「やめろっ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
という鯨岡。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「俺らを殺す気か!!」&lt;br /&gt;
「まだ、何も言ってないけど？？」&lt;br /&gt;
「お前、酸素ボンベに着火させようと思っただろ？」&lt;br /&gt;
「おおっ！おぬし、人の心が読めるのか？よくわかったな！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
あまりの寒さと、低酸素状態が、人の判断力を狂わせたのか。もしもそれを実行に移していたら、煙草はおろか、辺り一面火の海になったに違いない。鯨岡の言葉で、我にかえった斉藤であった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
さて、臼井はというと、膝を抱えて座り込んだまま、ピクリとも動かない。体温の放出を防ぐため、表面積を小さくしようと、膝の間に顔を埋め丸くなったままである。斉藤、鯨岡が呼びかけても、返事すらしないのだ。寝てしまったのか、と思いきや、突然はっとした表情で顔を上げた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「俺らの様子を俯瞰で見ていた。危なく、体から抜けきってしまうところだったよ&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
まさかの臨死体験中だったようである。そういえば、臼井の装備が一番薄い。寒さに耐えかねたのであろう。これはまずいと、気つけにウイスキーを口に含み、寒さや眠気を追い払おうと必死になっていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
しばらくすると、別の登山者が近くに座り、ラーメンを作り始めた。風に乗ってスープの香りが漂ってくる。やがて、出来上がったラーメンを上手そうにすすりはじめた。その様子を、冷え切った体を震わせながら眺めていた。今なら、マッチ売りの少女の気持ちが良くわかる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「せめて、スープだけでも&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
「いや、こいつらを崖から突き落として、ラーメンを奪い取ろう&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
辺りには不穏な空気が漂い始めた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
そうこうしているうちに、日の出の時刻がせまってきた。それに呼応して、周囲の人口密度が増してきた。途中の山小屋で宿泊し、ご来光に合わせて登頂してきたツアー客の団体である。そういう類の人たちであるから、中にはおよそ登山するとは思えないような格好をした者もいる。何時間も寒風に吹き付けられて待ち続けている斉藤、鯨岡、臼井の三人は、お手軽ツアー客に対して、一方的に敵愾心を燃やしていた。特に斉藤は、撮影のベストポジションを盗られてなるものかと、三脚にカメラを据えて、崖の縁へと移動した。壁際を離れると、風を防ぐものは何もなく、冷たくなった体をさらに凍てつかせた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「こんなに手が震えていて、シャッターをちゃんと押せるだろうか&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
と、心配していた矢先、新たな障害が降ってきたのである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「パラパラパラッ・・・」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
被っていたフードに何かが当たる、乾いた音がした。強風で砂礫が飛び始めたと思ったのだが、目の前に白い物体が舞っている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「雪かよ、あははっ&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
力なく、笑うしかなかった。&lt;br type=&quot;_moz&quot; /&gt;</description> 
      <link>http://smokeandfools.blog.shinobi.jp/%E3%83%95%E3%82%B8%E3%83%A4%E3%83%9E%E7%95%AA%E5%A4%96%E7%B7%A8/%E6%8A%98%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E5%BF%83</link> 
    </item>
    <item>
      <title>山頂！！</title>
      <description>&amp;nbsp;八合目を過ぎ、九合目を向える頃には、営業している山小屋も無く、自身のヘッドライトだけが道を照らしていた。雲が完全に月を隠し、夜闇の濃さが増していく。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;img alt=&quot;すっかりへたりこんでいる。&quot; border=&quot;0&quot; align=&quot;left&quot; width=&quot;300&quot; height=&quot;225&quot; src=&quot;http://file.smokeandfools.blog.shinobi.jp/Img/1286245834/&quot; /&gt;&lt;img alt=&quot;余裕しゃくしゃく&quot; width=&quot;300&quot; height=&quot;225&quot; border=&quot;0&quot; align=&quot;right&quot; src=&quot;http://file.smokeandfools.blog.shinobi.jp/Img/1286245852/&quot; /&gt;ここまで来たら、そんなに急ぐ必用はないので、バテ気味の二人にペースを合わせて進む。すっかり余裕が出てきた斉藤は、それまで自粛していた煙草に火をつける。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「はあー、うまい！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
肺一杯に煙を吸い込み、悠々と吐き出す斉藤。それに引き換え、鯨岡と臼井は地面にヘタッと座り込んでいた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「どうした、諸君。あと少しだ。元気出していこーぜ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
という声にも、面倒臭そうに反応するだけだった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
山頂がだいぶ間近に見える。気温もかなり下がってきており、途中、焚き火で暖をとる一団に出会った。その気持ちはわからないではないが、国立公園内での焚き火は禁止されているはずだ。そんなことを考えながら、その場を通り過ぎた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ふいに大きな鳥居が姿を現した。夜間の登頂ということで、風景がよく見えなかった。したがって、前触れも無く突然頂上が目の前に出現したといった雰囲気に包まれた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「よーし、ついたぞ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
という感慨もそこそこに、撮影ポイントを探す。山頂にはすでに大勢の登山者が到着しており、ツェルトを張ったり、アウターシェルを装着した寝袋に包まったりして日の出を待っている。それにしても寒い。北風が強く吹きつけ、体感気温をかなり下げている。こんな風に何時間も吹きつけられるのは、ご免こうむりたい。三人は、風を避けつつ東に向いている場所を探し回った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
20分ほど徘徊して、ようやく良い場所を見つけた。ように思えたのだが、何だか少し臭うような。目の前に見える小屋はトイレなのか？暗いのでよくわからない。それはともかく、他には誰も居ないし、岩壁を背にして正面が東を向いているので、ご来光の写真を撮るには最適なポジションだった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
崖の縁から下を覗くと、登山道が無数の青白い光に埋め尽くされていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「富山名物ホタルイカみたいだな」&lt;br /&gt;
「うわっ、すげー渋滞。あんなところ歩けねーよ」&lt;br /&gt;
「五合目から、ずっとつながってるんじゃないか？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
皆口々にその光景の感想を述べる。無数の光は揺らめきながら、少しずつ山頂目がけて動いている。あれだけの人数が山頂に到着したら、そこらじゅう人だらけになることだろう。たった一時間ではあったが、早めの行動が効を奏したようだった。時刻は午前3時半少し前。途中でたっぷりと休憩を挟みながら、6時間あまりでの登頂というのは、標準時間6時間弱とされるこのルートにおいて、かなりハイペースで上ったことになるだろう。&lt;br type=&quot;_moz&quot; /&gt;</description> 
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    </item>
    <item>
      <title>キタ━ ━(ﾉﾟ∀ﾟ)ﾉ</title>
      <description>PRO TREKという便利道具がある。デジタル腕時計なのだが、時刻はもちろん気温、気圧、高度、方位を知ることが出来る優れもの。但し、高度に関しては大気圧の変化に影響を受けるので、時々修正しなければならない（高度気圧計は、100m上昇するごとに気圧が12hp下がるという法則に基づいているため。つまり低気圧接近中は、急に表示高度が上昇してしまうことがある。ちなみに、気温は100m上昇するごとに0.6℃下がる）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前回の遠征時、高度修正を怠ったことが現在地をロストした原因の一つであったため、斉藤は標高を示す看板を見るたびに修正をしていた。もっとも、一本道のこのルートでロストは無いだろうが。さて、その際に気づいたのであるが、どうも大気圧がどんどん下がっているようだった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「低気圧が接近しているな。毎回、看板よりも高い高度が表示されている」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その言葉通り、月は既に雲が覆い隠し、山頂は霞が掛かったようにぼやけている。気温も下がってきており、各自マウンテンジャケットを再装着したり、ニット帽を被ったりといった状況。天候は確実に悪化していた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
八合目に到着したのは、午前1時過ぎ。数軒の山小屋が客引きをしており、カップラーメンやおでんを販売していた。空腹と寒さの襲撃を受けていた彼らにとって、そのスペシャル価格は障害にならなかった。すぐさま入店し、山菜うどんとカップヌードルを頼む（それぞれ800円くらいだっただろうか）。臼井と斉藤のうどんはすぐに出てきた。普段であれば激怒して然るべき内容の代物であったが、この場において暖かい汁物を得ることが出来る幸福はプライスレスである。鯨岡はカップヌードルを頼んだのだが、ここで事件が起きた。運んできたバイトの兄ちゃんが、目前でカップを倒したのである。当然お湯が容器から流出したのだが、その時の兄ちゃんの言葉が凄かった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「あっ、すみません。すぐにお湯を足してきます」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
おい、そういう問題ぢゃないだろ！！！&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「お前なぁ、ここにお湯を足したらスープが薄くなるだろ！すぐに交換してこい！！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
鯨岡の怒りと要求は全くもって正当である。加えて斉藤が「ハァ？お前バカだろ」という表情で睨みつけたので、そのバイト君はあわてて調理場に戻って新しくカップヌードルを持ってきた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「おい、交換したフリじゃないだろうな？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
と確認し、ちょっと偉そうな人物の謝罪を受けて一件落着。とりあえず、腹を満たしたら色々と収まった。そんなことがあったり、眠かったりで長めの休憩となった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
既に標高は3,000mを超え、だいぶ空気が薄くなってきた。呼吸と心拍の回数が上がっている。序盤絶好調だった鯨岡もさすがにバテてきたようだった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「ほらみろ。山を登るときは、調子が良いときこそペースを押さえないとダメなんだ」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
と諭す臼井も少々辛そうである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「一定のペースを作って、それを最後まで維持するようにすればいいんだよ」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
さらに鯨岡を諭す斉藤。頭が痛いだの、気持ち悪いだの言っていたヤツに言われたくないと思う鯨岡であったが、この時の斉藤は覚醒していたのであった。それまでの不調はどこへやら。全く高山病の症状は消えうせてしまったのだ。臼井から体調を問われると、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「なんだか、3,000mを超えたあたりから調子が良くなってさ。ついにキタかな」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;beta;エンドルフィンが分泌されたのか、高地に順応したのか。なんとか最後尾にしがみついていた斉藤は、いつしか先頭を歩くようになっていた。現在の標高は3,200m。日本で2番目に高い山、北岳（3,193m）を超えた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;</description> 
      <link>http://smokeandfools.blog.shinobi.jp/%E3%83%95%E3%82%B8%E3%83%A4%E3%83%9E%E7%95%AA%E5%A4%96%E7%B7%A8/%E3%82%AD%E3%82%BF%E2%94%81%20%E2%94%81-%EF%BE%89%EF%BE%9F%E2%88%80%EF%BE%9F-%EF%BE%89</link> 
    </item>
    <item>
      <title>サプリのちから</title>
      <description>各メーカーから、いろいろ発売されているサプリメント。その中でも、個人的に愛用しているのが「アミノバイタル」である。行動中は度々これを口の中に放り込み、ガリガリと噛み砕く。ほのかな甘みと酸味が広がっていく。外装には色々と書いてあるが、詳しい効能はよくわからない。が、これを摂取しているのといないのとでは、翌日の回復具合に差がある&amp;hellip;気がするのである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
今回は、「食べる酸素（商品名は失念しました）」というものを試してみた。こちらは、梅のような酸味が強く、やはりタブレットをガリガリと噛み砕く。何でも、血中酸素濃度を上げる効果があるらしい。高地で行動するにはもってこいのサプリなのだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
そして、なんといっても携帯酸素ボンベ。キャップを反転させてノズルに接続。キャップの開口部を鼻と口にあてがい、ボタンを押して酸素を噴射しながら吸い込む。直接的に酸素を補給できるので、低酸素状態の回復には効果絶大である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
斉藤は、これらの便利道具を使って、なんとかこの窮状を脱しようと試みていた。小一時間ほど休憩を取ると、頭痛や吐き気といった症状は治まり、また歩けるようになった。他の二人は、高地の影響がまだ出ていない様子で、いつでも行けますよといったところ。それではと、再び一行は歩き始めた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
売店や山小屋が多く立ち並ぶ中を抜けて行く。ちらっと目を遣ると、若い男性が畳の上に横たわり、傍にはこれも若い女性が心配そうな面持ちで座っている光景が見えた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「ああ、かわいそうにねぇ」&lt;br /&gt;
「折角勇んで彼女とフジヤマ登山に来たって言うのに、当人が真っ先にギブっちゃったよ」&lt;br /&gt;
「こればっかりは、個人差があるからね。あの様子だと、もう登れないんじゃないかな」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
恐らく、高地障害により動けなくなってしまった「兄ちゃん」に、心の中で哀悼の意を表する三人であった。彼はちゃんと酸素ボンベを持ってきているのだろうか？先ほど売店で販売されているものを見たが、驚愕の価格であった。輸送費用を上乗せするにしても、平地の倍とは。この場で購入する者にとっては、背に腹は変えられず、藁にもすがる思いなのであろうが、弱者ビジネスの匂いが充満しているなぁ&amp;hellip;と思った。&lt;br /&gt;</description> 
      <link>http://smokeandfools.blog.shinobi.jp/%E3%83%95%E3%82%B8%E3%83%A4%E3%83%9E%E7%95%AA%E5%A4%96%E7%B7%A8/%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%81%AE%E3%81%A1%E3%81%8B%E3%82%89</link> 
    </item>
    <item>
      <title>夜道を歩く</title>
      <description>標高2,304ｍの五合目を出発。日中は大きな馬車が通行するその道は、石畳のように石が敷き詰められており、正直歩きづらい。ところどころ急坂になったり、馬糞が落ちていたりと、文句のつけどころが沢山ある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
途中でジャケットを脱いだりしながら、歩くことしばし、程なく六合目を通過。この辺りから、斉藤の体に異変が生じ始めた。頭痛と吐き気が忍び寄ってきたのだ。まさかの高山病。歩くペースが上がらない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「おかしいなあ。ちょっと辛くなってきた&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
それに引き換え、絶好調なのは鯨岡である。そんなに飛ばすと最後までもたないぞという、臼井、斉藤からの忠告を意に介さず、ひょいひょいと登っていく。先行しては後続を待つといったことを繰り返していた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
臼井は、さすがに経験者である。自分のリズムを崩さず、一定のペースをキープしている。ペースが上がらない斉藤を慮りつつ、先行する鯨岡に注意を払う。パーティーとしての統一性は彼が保っていた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
山頂方向を見上げると、山小屋の明かりが暗闇に浮かび上がり、幻想的な風景を醸し出していた。麓を見下ろすと、町明かりが方々に見られた。そして何とも絶景なのは、河口湖が見せる姿である。月に照らされてキラキラと輝く湖面は、水銀で満たされているような印象を受けた。この時点では、まだ月が出ていたのである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
これらの光景は、山頂まで終始続く。正面を向くと薄暗い登山道、石、草。あとは前述の通り。変化の乏しい風景に、2時間もするとウンザリしてくる。美人三日という言葉の通り、光り輝く湖面も見慣れてしまえば、まあそんなものか、といったところ。景観の変化という楽しみが無い登山は、精神力の強さが試される。登山という苦行を紛らすものを周囲から得られないからだ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
軽度の高山病に苦しみながら、それでも何とかペースを一定に保ち、大きく遅れないように登っていた斉藤には、ひたすら我慢の時間が続いた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
そんな状態ではあったが、ガイドブックの指標時間と同じくらいのペースで七合目に到着した。ここで長めの休憩をとる。体を冷やさないように気をつけながら、各自サプリメントと水分を補給。酒と煙草は控えておくことにしたのは言うまでもない。今回は、ちょっと危ない気がした。&lt;br /&gt;</description> 
      <link>http://smokeandfools.blog.shinobi.jp/%E3%83%95%E3%82%B8%E3%83%A4%E3%83%9E%E7%95%AA%E5%A4%96%E7%B7%A8/%E5%A4%9C%E9%81%93%E3%82%92%E6%AD%A9%E3%81%8F</link> 
    </item>
    <item>
      <title>さて出発！</title>
      <description>「ああーっっっ！！！！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
斉藤が突然叫んでしゃがみこんだ。何事かと問いただしてみると、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「あれだけみんなに持って来いと言っていたのに、ストックを忘れてきた&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
なんだ、そんなことか。人騒がせな、という表情で、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「じゃあ、そこの店で見ていこうぜ。何なら、その杖でも良いんじゃない？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「そうだよ、俺も現地調達するつもりだったからさ。いかにもって感じで、この杖はありじゃね？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「これぇー？なんか、いかにも富士山だな。まあ、いいか&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
八角形に削りだされた木製の杖には、標高3,776mの刻印が押され、旭日旗と鈴が付いている。五合目にある幾つかの売店の軒先には、この杖が無造作に陳列してあった。一応、登山用品が置いてある店を眺めた後で、三人揃ってお買い上げとなった。何だか気恥ずかしい心持ちではあったが、何も無いよりはましである。これからの行程の無事と安全を託す装備品の一部が、果たして観光客向けの角材となってしまった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
五合目の売店、食堂の店じまいは早く、18時頃にはシャッターが降り始めた。握り飯を売っていたオバちゃんに旅の無事を祈ってもらった後、一行は駐車場へ戻り、いそいそとテントを設営した。ビールと握り飯、かきピー山葵味で腹ごしらえをした後、22時出発に向けて仮眠をとる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
しかし、眠れない。アスファルトは硬く、冷たく、寝袋を通して彼らの背骨を軋ませる。小一時間が過ぎるうちに、周囲がざわつき始め、車の往来も活発になってきたようだった。ちょっと煙草でも吸おうと、外に出た斉藤は、夕方とは一転して車で埋め尽くされている駐車場の光景を目にした。ご来光を仰ぐため、麓で時間調整をして日没後に到着した人たちは、ぞろぞろと出発し始めている。大量に搬送されていたバスツアーの客といい、彼らといい、これは頂上で混雑必至な様相を呈してきた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「おーい、起きてるか？相談があるんだけれど」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
斉藤は、テント内の臼井と鯨岡に声を掛けた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「起きてるよ。相談って、もう出発しようっていう件だろ？俺もそう言おうと思っていた」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「テントの周囲がざわざわ騒がしくって、こりゃ、人が増えてきたねぇ」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「今出発しないと、頂上渋滞に巻き込まれそうだ。予定を繰り上げて出発しよう」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この意見には全員同意し、テントをすぐさま撤収。装備品の最終確認をした後、予定より一時間早い21時に五合目駐車場を出立した。この時刻に登り始めれば、団体客は出し抜けるだろう。朧月の弱光を受けてボンヤリと夜空に浮かび上がる富士山頂。ヘッドライトで足元を照らしながら、三人は登頂を開始した。</description> 
      <link>http://smokeandfools.blog.shinobi.jp/%E3%83%95%E3%82%B8%E3%83%A4%E3%83%9E%E7%95%AA%E5%A4%96%E7%B7%A8/%E3%81%95%E3%81%A6%E5%87%BA%E7%99%BA%EF%BC%81</link> 
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