各メーカーから、いろいろ発売されているサプリメント。その中でも、個人的に愛用しているのが「アミノバイタル」である。行動中は度々これを口の中に放り込み、ガリガリと噛み砕く。ほのかな甘みと酸味が広がっていく。外装には色々と書いてあるが、詳しい効能はよくわからない。が、これを摂取しているのといないのとでは、翌日の回復具合に差がある…気がするのである。
今回は、「食べる酸素(商品名は失念しました)」というものを試してみた。こちらは、梅のような酸味が強く、やはりタブレットをガリガリと噛み砕く。何でも、血中酸素濃度を上げる効果があるらしい。高地で行動するにはもってこいのサプリなのだ。
そして、なんといっても携帯酸素ボンベ。キャップを反転させてノズルに接続。キャップの開口部を鼻と口にあてがい、ボタンを押して酸素を噴射しながら吸い込む。直接的に酸素を補給できるので、低酸素状態の回復には効果絶大である。
斉藤は、これらの便利道具を使って、なんとかこの窮状を脱しようと試みていた。小一時間ほど休憩を取ると、頭痛や吐き気といった症状は治まり、また歩けるようになった。他の二人は、高地の影響がまだ出ていない様子で、いつでも行けますよといったところ。それではと、再び一行は歩き始めた。
売店や山小屋が多く立ち並ぶ中を抜けて行く。ちらっと目を遣ると、若い男性が畳の上に横たわり、傍にはこれも若い女性が心配そうな面持ちで座っている光景が見えた。
「ああ、かわいそうにねぇ」
「折角勇んで彼女とフジヤマ登山に来たって言うのに、当人が真っ先にギブっちゃったよ」
「こればっかりは、個人差があるからね。あの様子だと、もう登れないんじゃないかな」
恐らく、高地障害により動けなくなってしまった「兄ちゃん」に、心の中で哀悼の意を表する三人であった。彼はちゃんと酸素ボンベを持ってきているのだろうか?先ほど売店で販売されているものを見たが、驚愕の価格であった。輸送費用を上乗せするにしても、平地の倍とは。この場で購入する者にとっては、背に腹は変えられず、藁にもすがる思いなのであろうが、弱者ビジネスの匂いが充満しているなぁ…と思った。
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